映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」を見た。
以下、R18とネタバレ注意。
原作はイギリス発の同名小説。シリーズ3作あってトータルで売れに売れたらしい。
3作とも映画化されていて、今回見たのは第1作目。
あらすじをざっくり言うと、平凡な女子大生アナスタシアがお金持ちな独身男性クリスチャン(大企業のCEOでもある)に見初められ、執着され、アブノーマルな性愛に溺れていく…という話。
ヒロインのアナスタシアはクリスチャンと出会うまではボーイフレンドも居なかった。しかしクリスチャンと出会って、お金持ちかつスマートな彼の振る舞いにときめいていく。
しかしクリスチャンがかなりの曲者で、まず恋愛はしないと断言。アナスタシアとは主従関係を結びたいと申し出る。契約内容は男が支配者側。アルコール禁止、女のほうから触れるのもダメ、とかなり厳しい内容。それを破れば罰が与えられ、きちんと守ればご褒美がもらえる。
わたくし、てっきりご褒美ってお城かなにかだと思ったんですけど、報酬はクリスチャンの身体、だそうで。そうですか…(落胆)
生娘なアナスタシアもここで「ご褒美とは」となっていた。クリスチャンが慌てて確認すると彼女がそもそもにおいてからきし未経験ということが分かり、なんか急いでそういう流れになってたのが可笑しくて。
「早急に解決しなくては」って台詞も変だし、されるがままに身を委ねるアナスタシアもどうかと思うし、ムーディーな挿入歌(ボーカルあり)の音量がどんどん大きくなってくるし。
官能的なシーンらしいけど、完全に真顔で見守ってしまいました。
そのあとは契約するしないで揉めたり、クリスチャンが幼少期のトラウマを語ったりして、なんだかんだですれ違っていく二人。
イチャラブしたいアナスタシアと、それはできないクリスチャン。
というか、さっさと別れなさいよそんな男、と思ってしまいました。
アナスタシアにとってのクリスチャンの魅力がわからない。
すんごいお金持ちで、仕事もできて、ヘリコプターやグライダーの操縦もできてピアノも弾けるスーパーエリートってことくらい。
でもアナスタシアはそこにメロメロなご様子。いちいちすごく嬉しそうに微笑むんですよね。なんかもう、デヘヘッてくらい。
多分、原作はアナスタシアの一人称だからそこらへんの気持ちがテンション高めに書いてあるんだと思う。
でも映画だとモノローグがないから伝わってこない。アナスタシアが戸惑っているのか、嬉しいのか。表情で推し量るしかない。で、顔を見るとすんごく嬉しそうなの。もうわからぬ。
でも最後は契約は結ばず。
本気で鞭打ってみてと頼んでみたらマジのマジで痛くて心が折れたアナスタシアが去って終わり。
というかクリスチャンも、そういう痛いことせずにはいられないんだっていうわりには割りとできてましたよね、っていう。そこが疑問。
よかった点といえばアナスタシアの身体がとても綺麗でした!!!
細いけど痩せぎすじゃなくて、手足が長くて、白くて本当に綺麗。
それで急にグライダーに乗せられてキリモミ飛行されてもゲラゲラ笑っていられるくらい強いんだから、そりゃ手放したくないよねーとクリスチャンの気持ちが少し分かりました。
ただアナスタシアの気持ちはわからないなー。もしクリスチャンがお金持ちじゃなかったら、惚れてないよね多分。
アナスタシアもモテないわけじゃないし。
ここから本題。
この映画はシンデレラストーリーでもある。癖の強い性癖はちょっとあれだけど、クリスチャンが金とコネの力で色んなものをねじ伏せ、高価な洋服や住居、高級車、パソコンなどをアナスタシアに惜しみなく与える。
クリスチャンと出会う前のアナスタシアは古い車に乗り、ホームセンターでアルバイトをし、パソコンは壊れている。
そんな女の子を高級なもので喜ばせるのは簡単だ。実際、アナスタシアは綺麗な洋服や新しい車に多少戸惑いながらも目を輝かせる。
だけど、その喜びを知ってしまったらそれよりグレードが低いもので満足するのは簡単じゃなくなる。
シンデレラストーリーの裏話というか後日談というか。
『ラブホの上野さん』のコラムを思い出した。
リンク先のコラムに登場する女子大生とアナスタシアは「パパ活をしているかどうか」で根本的に異なるけれど。
逆に、コラムの男性は肉体関係を持たない。片やクリスチャンはやりたい放題、結果アナスタシアに嫌われてしまう。
そう考えた場合、分かりやすく見返りを要求するクリスチャンのほうがまだ人間味があるような気さえしてくるから不思議だ。
何にせよ、狂った金銭感覚を元に戻すのは難しいだろうなぁと、シンデレラストーリーを目にする度に思ってしまうのだ。
ちなみに映画では終盤、別れ際にアナスタシアが「私の前の車返して」とクリスチャンに言うシーンがあった。アナスタシアの金銭感覚はさほど狂ってなかったみたい。映画の続編も見てみようと思う。